売れない時の、相続放棄、物納、迷惑相続?思わぬ落とし穴もあります。

 売れない、売るのをやめようと思ったら、一度は考えて見てください。相続放棄、物納。安易に考えてはダメですが、有効な一手ではあります。面倒だから、ややこしいから相続を放棄すれば安心だろうと思うのは早計です。概略をお話ししますので、物件が売れない塩漬けになりそうな時は思い出してください。

(相続放棄)そもそも相続自体をしない、相続放棄をすると言う考え方です。しかしながら相続続放棄をした場合も、「次に相続人になった人が相続財産を管理できるようになるまで、自分の財産を管理するのと同じぐらいの責任をもって管理しなければならない」という民法の規定(民法第940条)があります。固定資産税などの支払いはまぬがれますが管理責任は残ってしまい完全に手離れできたとはいえないのです。

相続放棄したから安心な訳でなく。例えば地方の田舎で相続放棄した親の家が老朽化して近隣の住宅に被害を与えた場合、突然あなたに管理責任を問われて損害賠償を請求される可能性もあります。

そのため管理責任まで免れようとするなら、家庭裁判所から選任された「相続財産管理人」が管理責任を引き継がないといけません。しかし相続財産管理人の選任をするには、その報酬や経費にあてる「予納金」が必要になります。一般的には予納金は50万円〜100万円程はかかると言われています。相続もしていないのに、別にお金がかかるのです。最近はこのような相続を「迷惑相続」と言うそうです。それでも思わぬ管理責任を負うくらいなら、お金をかけてでも相続財産管理人を選任してもらうことをお勧めします。古家を放置して維持管理の責任を負うならこちらの方が安くつく可能性があります。

また自治体への寄付なども安易に考えますがなかなか受け取ってもらえなのが現状です。しかし、自治体が借りてくれる場合があります。何らかの自治体の施設の駐車場や会館などニーズがマッチすれば借りてくれる可能性もあります。困った時は、寄付だけでなく借りてもらえないかも相談対象です。

(物納)流通価格(売れる値段)は安いのに、やたら不動産評価額(路線価)✴︎1が高い場合があります。こんな時には、相続税が発生する時は、お金でなくその古家を物納できないか税務署と交渉する。一般的には、古い建物は税務署は収納しようとしませんが交渉によれば可能性もありますので、相続税の申告をしてもらう税理士さんにご相談ください。

とのかく、空き家を放置してしまうことは、どんどんリスクが増えてくると思って間違いないです。なんとか放置するくらいなら手離れできる方法をあらゆる方面から探ることが大切です。

✴︎1 全国路線価は、国税庁のホームページから見ることができます。

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