地方自治体の空き家の新しい取り組みについて

先日、ニュースで和歌山県田辺市の空き家対策が取り上げられていた

年々増加する放置空き家をどうするかで地元の自治体も

高額な解体費が払えない所有者も、荒れ放題の隣地の建物に困っている人

それぞれの事情が複雑に絡み合いなかなか解決の目処が立たない中、

役所の担当の方が、困っている隣地の方に空き家の購入を持ちかけた。

 

しかし隣地とはいえ、高額な購入費用で必要のない空き家を購入することは

考えられない。

そこで役所側は空き家の所有者に建物解体資金に見合う売却価格で調整

隣地の方はその解体費用相当額を購入価格として売買。

所有者はその資金で解体を行う。

近隣者は困っていた隣地を安く取得することができる仕組みだ。

一見このスキームはとてもいい感じに思うが、思わぬ落とし穴もある

全てのパターンで当てはめられないことである。

 

このスキームは、危険な空き家を公費で解体しなくてすみ、

所有者も解体費を負担することなく、近隣の方も安く購入できる

三方よしの状態に見える。

 

しかし解体費相当額が不動産の売買価格相場として適正だったのか?

解体費=売買相場というのは、もし高額でかつて購入した物件が

二束三文での売却になって納得してくれるのか?

今回はたまたま納得されたようだが、空き家の所有者の誰もが

納得できるのかはまだまだ未知数である。

 

また、今回はたまたま、隣地の方がまだまだアクティブで購入資金が

用意できたのでよかったが、ニュースの中でもそもそも両隣とも

空き家という画像もみられた。

このような場合、隣地に買ってもらうことさえできないだろう。

 

役所の方では、一件空き家問題が解決したとして安堵しているが

そもそも空き家が増えている根本原因を解決したわけではない。

 

もっと空き家の処理よりも地元の活性化を考えないと、

結局このスキームは問題を先送りしただけのもので終わってしまう。

 

私は空き家の再生について色々な手法で解消するお手伝いをしていますが、

自治体は地域全体の再生を考えないと根本解決までは

まだまだ遠い道のりになるでしょう。

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