相続土地国庫帰属法は空き家対策に有効か?

現在は相続放棄しても
「次の相続人になった人が相続財産を管理できるようになるまで、
自分の財産を管理するのと同じくらいの責任をもって管理しなければならない」
(民法第940条)
この条項により、相続を放棄してもなお管理責任は免れません。
現在は、管理責任を免れるためには家庭裁判所から選任された
「相続財産管理人」が管理責任を引き継いでもらうしかありません
そのために面倒な手続きと相続財産管理人の報酬や経費にあてる
「予納金」が必要になります。
この制度は相続放棄が前提です。

今回は相続した土地だけを国に対して引き取ってもらう制度ができました。
それが「相続土地国庫帰属法」です。

この法律は2023年(令和5年)4月27日から開始です。
あくまで、相続した土地に関して適用できます。
そのため建物がある場合は解体して更地にする必要がありますので
解体のコストは相続人が負担しなければなりません。
もちろん抵当権等の設定等の争いのない土地でなければなりません。

この制度も場合も、建物解体費や10年分の土地管理費用相当額の負担金
の納付が必要になります。

多分この制度で、国は所有者不明の土地や放置されたままの
不動産を無くそうと考えて法律を作ったのでしょうが、

相続人にとって、売れない、使えない、手に負えない不動産を
ただで国に引き取ってもらうのに、解体費や負担金を納付しなければ
なりません、もし相続財産がこの不動産しかない場合、
はたして相続人が追い銭をしてまで国に引きとってもらうでしょうか?
「そんなにお金がかかるなら、売れるかもしれないので
当面放っておこう、どうしても処分できないとわかるまでそのままで!」と
相続不動産の放置が増えるのではないか?と思っています。

お金の勘定から考えても、解体費や負担金などのまとまったお金が用意できず
まだ、ダラダラ固定資産税を毎年払っておいた方が金銭的な負担は楽だと
考える人もたくさんいるのではないでしょうか?

例えこの法律ができてもまだまだ「負動産」は減らないのでないでしょうか。
なんとか法律に頼らず民間ベースで解決法を見出せたらと思います。

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