私が体験!一人暮らしの叔母の全ての支払いを立て替えた半年間 、普通のサラリーマンだと大変

「おばさんが、自宅で朦朧として、即入院が必要です!すぐ来てください!」

私が、午前中、仕事をしていると、私の携帯に一人暮らしの叔母(当時80才)を訪問看護している看護婦さんからの電話でした。

その前日の夜は、例年になく記録的な寒さでした。叔母は石油ストーブを使っており、どうやら夜中に灯油が切れたようでそのまま寝ている間に、低体温症になって朝、訪問看護師さんが来た頃には、簡単な返事の応答はできるようでしたが、もう起き上がることさえできない状況でした。

しかし、一人暮らしの叔母ですから、誰か身内のものがいないと家から連れ出すことも、入院の手続きもできない状況なので、甥である私が急遽、叔母の所に向かうことになったのです。

家着いてすぐ「おばさん!と声をかけると、かすかな声で「これを預ける」といって、自分の脇の棚にあった、犬のパッチワークのついた手提げカバンを指さしました。あまりにか弱く目線も定まっていない様子なので寝ぼけているのかと思いましたが、そのカバンをのぞいてみると、銀行の通帳や印鑑、キャッシュカードなどの貴重品らしきものが入っていました。とりあえずそれをだけを預かり叔母を看護師さんと共に病院に運び込みました。
その間も叔母は、声をかけても、うつらうつらしたような状況で正気なのかうわごとなのかわからない言葉で、私と看護婦さんに何か話かけていました。病院につくとすぐ、診察室に運び込まれ、二時間ほど私は待合室で待たされました。診察室はかなり切迫していた感じで、看護婦さんやお医者さんが入れ替わり立ち代わり出入りしているのが見えていました。もう叔母はもたないのかもしれないと思い始めた頃に、診察した医師から呼び出されました。

医者が、開口一番「今は、いつどうなってもおかしくない状況です覚悟しておいてください。」とりあえず今は、点滴をうって眠っています。肺も心臓も非常に弱っています。できるだけのことはしますが一週間持たないかもしれません!と言うのです。

つい一週間前まで元気で電話していた叔母なのにこれほど激変するのか?と私は容態の激変に驚きました。とにかく、その日は、入院手続きをして、何かあればすぐに駆けつけますといって、一旦叔母の家の戸締りや近所の方に声かけをしておきました。
病院では、少し容態が落ち着いているので、とにかく明日また病院にいくことにして、私の妻にも様子を報告しましたが、一週間前に電話していたのでびっくりしていました。しっかりした様子で受け答えして、今年の冬は寒くてかなわないと愚痴をこぼして、元気な様子に思っていたようです。

叔母は、私の亡くなった母の妹で、結婚もしていませんでいたので、本当に身内は私しかいないのです。そこから一週間は、毎日病院に見舞いに行きましたが、ただ寝ているだけでそれも、口には酸素吸入、全身には、色々な数値を検査する装置が取り付けられ
ずっとピッピピッピと鳴っていました。両腕もこれでもかと言うくらい色々な点滴がぶら下がっていて、到底意識が戻りそうな様子ではなく私も覚悟して、葬儀やお墓のことまで考えるようになっていました。

それから二週間程たつと、かなり状況はよくなり、意識も少し回復してきて私が声をかけて、笑いかけると笑い返すように鳴ってきました。最初に医師がいった、危険な状況からは脱しているようで、日に日に顔色も良くなってきているようでした。
そのころになると私も冷静になってきて、叔母から預かったカバンの中身を確認することにしました。

叔母の貯金はその時点で200万円程、年金が月15万円程、あとは自宅の不動産が全ての財産でした。この間も、私は病院の入院のための保証金や衣服代やおしめ代など10万円以上立て替えて病院に支払っていました。

そろそろ1ヶ月が過ぎようとした頃、そろそろ病院の支払いもあるので銀行に出金に行かなければならないと思いだした頃、訪問看護にきていた看護婦さんに、そろそろ入院代の支払い等あるので、お金をだしたいのですがキャッシュカード番号とか聞いていますか?と尋ねたのですが知らないとのこと、そこでカバンの中も調べたのですがカード番号をメモ書きしているようなものもなく、カードによる引き出しは無理そうだと気付きました。

その時最初によぎった思いは「どうしよう!」でした。たとえ通帳と印鑑があっても、本人が窓口にいけない、本人が出金伝票にサインできない状況では、今の日本の金融機関ではお金をおろすことはできません。

私は、一か八か少し意思表示ができる叔母に、「カードの番号とか覚えてる」と話しかけましたが、目を閉じて首を横に振りました。もうすっかり記憶が混濁しており、本人も何がなんだかわからない状況になっていて、その場その時だけなんとか反応している感じです。

年齢的に認知症もあるだろうと医師や看護師さんは言ってくれるのですがあれだけ危機的な身体的状況に高齢者がなれば、もうまともに色々なことが反応できなくなっているのではないかと思いました。

もう、とりあえず叔母の支払いは、私の方で立て替えるしかないと覚悟して、病院の支払い等をし始めました。

病院の入院費は毎月約18万円程、家の方に来る、電話代、上下水道代、ガス代、NHKの支払い、そのほかにもすぐ停止しましたが、新聞代、保険料、生協費等諸会費、それと自宅の固定資産税。月割りに計算しても合計毎月5万円くらいは別に支払うことになりました。

この間も叔母は、酸素マスクをつけ続け、何も食べられず点滴の栄養だけで、小康状態で生き続けました。気持ち的に救われるのは、見舞いに行き声をかけると笑顔を作ろうとすることです。どこまでわかっているのかは疑問ですが。

半年がたちました。私が立て替えている金額も150万円を超えるくらいになりました。
その間、叔母の銀行口座には、2ヶ月に一度支払われる年金が着々とプールされていましたが、手出しができません。

二週間も持たないと言われていた叔母ですが、点滴と酸素吸入だけでかれこれ半年も行きており、まだまだこの状況が続きそうな感じでした。流石にこれ以上長期の入院が続くのであれば、なんらかの手立てを打たなければならないと感じ始めて、法定後見人の申請を裁判所に出すことにしました。

書類を作成して申請して面談を受けて法定後見人になるまでにはそれから、まだ2ヶ月がかかりました。その間もずっと私が叔母の支払いを立て替えていました。私は、なんとか立て替えることができましたが、普通のサラリーマンの家庭で突然こんなことになると、家計はめちゃくちゃになるのではないか?と思いました。

認知症になっていなくても、こんな急病や入院があると高齢者は入院中にボケてしまう方が多く、正常な判断能力を失う方が多いと、病院の医師や看護師さんが言っていました。

法定後見人になりますと、叔母の口座名義は変更され、後見人名義の銀行口座とになります。そこでやっと、叔母のそこに入ってくる年金から入院費や生活費を払えるようになりました。しかし法定後見人は裁判所に選定されており、毎月の収支報告など領収書と共に報告する義務が生じます。

最近は身内の後見人のお金の横領が多いようで、かなり細かくチェック監視されます。どちらかというととても窮屈な制度で、例えば、庭の木を植木屋さんに剪定を頼んでもすぐ10万円は超えてしますます、しかし留守をして雑草や生え放題の木は近隣に迷惑と環境の悪化を起こし用心が悪くなります。
しかし、年金でギリギリの生活の叔母の支払いでそのようなものはかなり高額で裁判所はあまりお金をかけさて、叔母のお金が減るのを嫌がります。そのため必要と思われることもあまりお金を使わせることもできず、実は裁判所に言わず、私が費用を支払ったものも結構ありました。

叔母が元気なら当然するであろうことでも、裁判所はそうは見てくれません。私が勝手に叔母のお金を好き放題にしないよう監視の目は緩めません。そのような裁判所に監視されているような日々が、なんと結局法定相続人に選定されてからも半年近く続き、静かに病院のベットで叔母はなくなりました。その間一度も酸素マスクも外せず、一食も食事をとらず点滴だけで生きていました。
一年以上点滴だけで生きていたのです、もちろん会話もままならずやせ細ってしまいました。最後は静かに病院の天井を見つめながら眠るように亡くなりました。病院に担ぎ込まれてからは、寝たきりで朦朧としたままでした。一年以上ずっと見舞いに来ていたこともわかっていたのかどうかわかりません。年がいってからも、元気で大きな声で笑っていた明るい人でしたがもうそこにはその面影はなかったです。

私はつくづく思いました、これからの長寿社会では、ちょっとした怪我や入院、施設への入所から痴呆症の症状が出たり、寝たきりになるようなケースがますます増えてきます。

私の叔母だって、一週間前までは、私の妻と冗談を言いながら電話していたのですから、突然思いも寄らない急変が、高齢者は抱えている、皆さんには、起こりうるということです。これからは、このような突然のことも起こりうると思って、事前にどのような手が打てるか、対処法を考えて学んでおかなければなりません。

最近は、ちゃんとその対処法はありますので、私のようなとんでもないことにならないようお願いします。私もこの対処法を事前にしているとかなりスムーズだったと思います。

これからは相続対策(亡くなった後の対処)ではなく、年齢と共に一般的な生活ができなくなり介護を受けたり入院したりしてそこで長く生き続けるようになります。衰えると、記憶や字も書けなくなりますので、色々なことにサインや判断して適切に答えることができなくなります、そんな時に、家族であるあなたはどう対処できますか。ハンコも押せないのですから、家の火災保険だって新しく契約できません。施設に入所して住まなくなった家だって、本人に意思決定能力がないと見なされると、自宅の処分だってできません。

このような所有者が生きていても判断能力がなく、物件を処分することができなり、人が住まないのに手がつけらない荒れ放題になってしまっている家ものもたくさん出てきています。相続が発生する前からすでに手のつけられない家が生まれているのです。長寿社会が現代の空き家の増加の大きな要因になっています。
空き家問題はこのような状況になる前から事前に対処しておかないと解決できない問題です。相続してからなら相続人ができますが、まだ本人は存命で法律行為ができないと、全ての資産はまるで凍結されたような状況で誰も手出しができなくなるのです。
その時あなたはどうしますか?

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