相続対策でも大事件が!

ある地主さん(お父さん)が、相続対策のため、自分の土地の上に、
息子さんの会社でアパートを建てて、お父さんの土地の
評価を下げておこうとしました。

もちろん、お父さんの土地を借地として息子さんの会社名義のアパートを
建てることにして、建築にかかる費用の融資をうけるにあたり
お父さんにその土地の担保提供をしてもらうことになっていました。

そのスキームで建築業者と建築の請負契約を結び、銀行にも融資の
承諾を得ていました。
ところが、建物が完成した10ヶ月後の決済まじかの時点で
お父さんに認知症が発症しました。

認知症を発症したため、金融機関で融資をうける際の条件としていた
底地の担保提供のための登記や融資手続きができなくなってしまいました。

こうなってしまうと、家庭裁判所に成年後見人の選任を依頼して
成年後見人を選任してもらい、その後見人に今やっている
相続対策を認めてもらい、底地の担保提供等を認めてもらうしかないです。

このような状況での後見人依頼では、まず裁判所は親族でなく、
専門家(司法書士や弁護士等)を後見人に選任する可能性が高くなります。

先の例のように、もしここで成年後見人がこの相続対策が無効であると
判断すると大変なことになります。
後見人の選任される期間だけでも数ヶ月その上、その時点で今行われている
相続税対策を認めてもらえるかどうかは確実ではありません。

この相続税対策に関わった、認知症のお父さん、息子さん、
建設会社、金融機関等 みんな大変なトラブルを抱えてしまうことになります。

このようなことにならないため、例えば家族信託では、土地の所有者の
お父さんを委託者、息子さんが受託者として家族信託契約を事前に結んでおけば
建築の請負契約や融資の申し込みも息子さんが行えますし、担保提供予定の
土地の担保提供に関する契約も融資の担保設定登記等も息子さんができます。

こうしておけば、たとえ建設期間中に、お父さんに判断能力を失うようなことが
あっても間違いなくこの相続対策のスキームは実行できます。

他にも長年、土地の境界問題で揉めているような土地で
個人のどちらかが認知症になると、もうその方が亡くなるまで
境界の確定することはできません。
境界が確定できないと言うことは、売却時に非常に不利になり
場合によれば、土地を分筆するようなことができないので、
相当な低価格もしくは塩漬けになってしまうこともあります。

 

 

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