リストラされて田舎の実家で開業

空き家は、売る、貸す、住む意外にも利用する、と言う考えもあります。この話は私が相談を受けた実家の空き家を活用した話です。

突然事業規模縮小に伴い、希望退職を募ります!突然社内は大騒ぎになりました。田中(仮称)さん50歳は、東京で仕事をされていましたが、実家は奈良県でした、私は田中さんのご友人の紹介で、実家の大きな空き家になっているお屋敷の活用について相談されていましたが、田中さん自身の状況も一変してしまいました。

そこで、一度奈良の実家でお会いして再度相談を受けることになりました。私は地元の親しい高齢者施設運営をしている会社にこの物件を活用しないか?と持ちかけていたところでした。かなり広い敷地に、母屋、はなれ、蔵がありいろいろな活用ができそうだと乗る気でした。田中さんはとりあえず賃貸にすれば家賃が稼げるので、50歳の年齢を考えて、すぐ仕事が見つからなくても、一時的には仕事をやめても生活の糧になるなぁ〜と思って考えていたようです。

ところがです、田中さんの奧さんにその話をすると、どうせ仕事を辞めるなら、奈良に帰って「私、その実家で通所介護施設やって見たい!」と言い出したのです。奧さんとは東京で知り合ったのですが、奧さんももともと奈良県出身でした。子離れしたのをきっかげで、ヘルパーの資格を取って地元の介護施設でパートをしていました。

奧さんは、奈良に帰れば自分の親のことももっと面倒見れるし、もう少し高齢者の介護で入所者のことを考える介護をして見たいと思っていたようです。混乱したのは田中さん本人です、自分は賃貸してのんびり次の仕事を東京で探そうと考えていました。

田中さんは、奧さんにヘルパーをするのと施設を経営するのとでは、難易度が全然違うといったのですが、「あなたが経営すればいいでしょ、元々部署を任されて経営していたようなもんじゃない!」と奧さん一喝されてしまいました。この奧さんの勢いに押されて、私には、施設運営ができるかどうかの相談に話が変わってきました。

元々私の友人は、ここなら高齢者が急激に増えていて、通所介護施設の需要があると言うことでこの物件を借りようとしていました、そこで所有者本人が経営したいと言っているので申し訳ないが賃貸することはできなくなりそうだと伝え、尚且つ甘えたお願いとして、東京から帰ってくる田中さんご夫婦に運営の指導をしてもらえないか?と頼み込みました。私の友人には呆れられましたがなんとか指導の約束を取り付けました。

それともう一つ大きなリスクがありました。田中さんの割り増しがあるものの、ほとんどの退職金を、この施設の開業のために提供してもらわなければならないことでした。田中さん本人は悩んだようですが奧さんの方が前向きなので、奧さん反対はありませんでした。それより早く開業準備にかかりたいので、田中さんが退社する前に奈良県に戻って現地の開設準備したと言い出しました。

当時はこのような旧家を使った通所介護施設は珍しく、地元でも話題になりオープン当初はローカルテレビの取材などもきて、立ち上がりからかなり人気の施設になり、順調に経営できるようになりました。

今でもたくさんの大きな旧家が利用されず残っていることと思います。このような建物を利用して所有者自らビジネスすることも考えられるようになりました。

 

 

 

 

 

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