母が愛した雪景色

私がコンサルティングした空き家で、かつて起きたエピソードを少し紹介します。(なお守秘義務もありますので仮名とどの家か特定できないようにしています)

私も母を看取ったこの部屋で、そろそろお迎えが来る時期になった。 母が好きだった庭の木々に積もる雪景色を、私も若い頃より一層好きになった。

息子の雄二が枕元で私の手を握っている。 温かいその手のぬくもりが、過去の記憶を呼び起こす。
私は母が愛したこの景色を守りたくて、この家に住み続けた。 しかし、息子の雄二は都会で暮らし、もう地元には帰らないだろうと思っていた。 だから私は、亡くなればこの家を処分するよう息子に伝えていた。
この庭の雪景色は、私と母の記憶の中だけに残り、やがて消えてしまう。
生まれ育ち、結婚してからも夫と一人息子、そして母と穏やかに過ごしたこの家。 笑い声が満ち、温かい灯りが絶えずともっていた場所。

母が亡くなった2年後、
「お父さん、雪が降ると木に積もって帽子みたいだね」 幼い息子が無邪気にそう言った。母が亡くなり、家は新しくなったが、この庭は残した。

故郷にUターンして、ここで暮らすことにした雄二さんは、独り言のように呟いた、
「都会での仕事を辞めて、ここで暮らすことにしたんだ。 庭の雪景色も残した。また母さんが愛したこの庭の景色を、私の家族と楽しんでいこうと思う。」

この景色は、家族の歴史と絆のためには大切なものになった。

雄二さんからから、地元に移住する相談を受けたとき、下記のサイトを紹介した。無事に故郷にUターンを果たし、自治体の支援と仕事を得ることができました。

一般社団法人 移住・交流推進機構

(全国自治体支援制度)  https://www.iju-join.jp/feature_exp/shienseido.html
(地域のお仕事情報)   https://www.iju-join.jp/work/

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