「長者教」資産を作る3つの教え

中世の時代から、大阪の商人の間で、口伝で伝えられている
致富修身の道を説く「長者教」という教えがあります。

江戸時代はじめには「長者教」という仮名草子で刊行され。
庶民が長者になる心得を物語風に語り、多くの商人や町人の間で
広く読み続けられ、およそ100年間流布し続けたとのことです。

元々は、中世からの大阪商人の言い伝えであったものが、
仮名草子となりその後、長者教のエッセンスを町人物として、
エンターテイメント化したのが井原西鶴です。
彼の時代にあった「長者教」として、ゼロから一代で致富に至る逸話を
「日本永代蔵」(外題に「大福新長者教」)で書いたと言われています。

1素直・嫉妬しない
「長者教」の冒頭で、若者が当時の大富豪に成功した秘訣の
教えを請うシーンがあります。

仮名草子の中では述べられていませんが、
このシーンから、まず成功者の言葉を素直に聞く態度が大切だと
昔の商人同士の勉強会では教えられます。
そこで、大富豪が豊かであることに嫉妬して批判してしまう様な
人間は一生豊かになれないと釘を刺されます。
あなたも誰かが儲けた話を聞くと嫉妬して腹が立ったことはないですか
そんなに儲けたことを賞賛することができますか?

2 お金を始末して蓄えよ

最初の一歩は、「長者教」の時代は古いので、
お金ではなく、お米がお金がわりです。
宮大工の仕事のまかないで出される一日五合のコメを半分
(二合半)をためて財を築いたお金持ちの話が出てきます。

食べると言う本能的欲求を制御できる意志力がないと、なかなか
積み重ねられません。特に現代の人は欲望に素直で、食べたい
見たい、欲しいと言った物の奴隷になっているのではないでしょうか?

長者教の中では、お金持ちになりたいと思うものは、貧乏になると思えと
書いています。
人がお腹一杯食べ、美味しいお酒を楽しみ、綺麗な服やカッコいい車を
乗り回し、華やかな暮らしをして欲望のまま人生を謳歌している時。
その横で、質素で慎ましい生活、始末した生活を強いられます。

日本でも明治時代に大富豪になった本多静六さんも、薄給の大学教授で
あったので、手記では家計を節約するために月末には現金がなくなってしまい、 家族は胡麻塩ご飯だけと言うこともたびたびあったようで、奧さんは
理解してなんとかついてきてくれたが子供さんは
「お母さん今日も胡麻塩だけ」と泣き顔をされるのがとても
辛かったが、財産を作るために信念を貫いたと書いています。

それを、格好悪とか惨めだとか、世間体を気にする人にはとても
我慢できないことでしょう。

お金持ちになるのはこのようなことに耐えて、ただの一銭づづでも、
いつも始末できる人が将来も素晴らしい成功者になるだろうと書いています。

3金を育む行動指針。

蓄えたら投資する、長者教の中では、「果報(財産)はかぎりがあるが、
人の欲には限りない」と言って
せっかくお金をためても、好き勝手に欲望のままに使うな、
また人の財産を羨むと、ますますお金が欲しくなる。
貯めたお金をコントロールすると言うことは、自分の欲をコントロールすることだと。
そのためには十善を常に行うことして行動指針を書いています。
①分別(思慮)のある行動をすること。
欲や世間体に振り回されない
②正直にしなさい
③堪忍我慢しなさい。
思い通りにならないとすぐに癇癪を起こすようではダメ
この章の最初に書いた嫉妬もこの対象です。
④盗みと火事には油断せぬように
昔は盗難保険も火災保険もない時代なのでどちらかを
起こせば全ての財産を失うことになりました。
今でも、詐欺や犯罪が横行している時代です、
賭博も注意です、海外のカジノで全財産溶かしてしまった話もあります。
君子危に近寄らず、少し臆病なくらいがいいです。
⑤強情にならず人の意見も受け入れること
これは、最初の素直につながります。
謙虚で人から学ぶことを大切に思うこと。
⑥くよくよ後悔することは無益なことだ
いくら悔やんでも過去は変えられません、
これから先をどう花咲せるかが大事です。
⑦ 慢心、おごりを起さぬように
得てして人は成功しているときに、間違いを起こします。
先ほどの自分を凡人と思えのところでも話しましたが
自分を凄いと思った瞬間が一番スキができるのです、
このようなときにとんでもない詐欺にあったりします。

⑧ 雑談(余計な噂話)は無益だ
特に他人の悪口は注意が必要です、秘密にしているつもりが
結構相手の耳に届くものです。
最近のメディアなどは、ありもしない噂話をでっち上げて
人を追い込むようなことをする記者もいます。
社会に対してなんのメリットも与えていません。
皆さんも、テレビや大衆紙のゴシップを気にするくらいなら
自分のスキルアップの読書の時間を作ってください。

⑨寛大な処置、手加減はかえってお互いの為にならず損になる
人情味があり温情があるようなことは
かえってその人を甘やかせて自立した人として
生きることを妨げさせて、結局あなたに依存する
生き方をさせてしまうと言うことです。

⑩余計なお節介をしない
これも人間味がないと言われる方があるかもしれませんが
お節介は意外と相手を卑下させて自分を高く見せる
自分のプライドの為にしているかもしれません。
そんなお節介を受けた人は、口では感謝していますが
心の中では、憎しみさえ持つこともあります。
人を本当に信じている人は、意外と他人に優しく
無かったりします。
どんな時も分け隔てなく、近寄りすぎず、用心深い
人付き合いが大切だと書いています。

長者教ではこのようなことを十善として辛抱強く我慢して行うことが
大切だと言っています。

現代の情報の溢れた時代の皆さんにとっては当たり前の様な
ことばかりかもしれませんが、皆さん頭でっかちになり
実践できていないのではないでしょうか?
昔の大阪の商人たちはまず動けと、行動することが最優先されて
いましたが、こんにちはまず考えてから実行しようという
風潮が多くなりましたね。

皆さんはお利口さんになって、失敗しない様にしようと思って
身動きが取れなくなっているのではないでしょうか、
人間ですから失敗するのが当たり前です、失敗しないでおこうと
思う方が無理なのでは?現代の人は恥をかきたくないという
いい格好したいと思うあまり、世間体をかなり気にする様に
なりました、これは他人と比較できるSNSが発達し、
人のことが気になりすぎているのです。それで、行動できなくなるのです。
順番はまず動いて動きながら考える方が成功に近づけると思います。

 

 

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